45歳からの暮らしの教科書

親を扶養に入れると、いくら安くなる?
別居・仕送りでも使える扶養控除の条件

最終更新: 2026年9月10日|45歳からの暮らしの教科書 編集部

「実家に毎月いくらか送っている」——その送金が、扶養控除の要件を満たしている場合があります。扶養控除は同居していなくても使える制度で、そして自分から申告しないと適用されません。年末調整や確定申告で申告欄を埋めなければ、条件を満たしていても0円のままです。

この記事でわかること

  1. いくら控除されるのか
  2. 別居でも対象になる条件——「生計を一にする」の意味
  3. 親の所得がいくらまでなら対象か
  4. そもそも対象から外れる場合
  5. つまずきやすい点と、今日できる確認

いくら控除されるのか

扶養控除は、対象となる親族の区分ごとに金額が決まっています。

区分控除額
一般の控除対象扶養親族38万円
特定扶養親族63万円
老人扶養親族(同居老親等以外)48万円
同居老親等58万円
親の場合、年齢で区分が変わります。その年の12月31日時点で70歳未満なら「一般の控除対象扶養親族」(38万円)、70歳以上なら「老人扶養親族」(48万円)にあたります。同居老親等とは、老人扶養親族のうち、納税者またはその配偶者の直系尊属(父母・祖父母など)で、納税者またはその配偶者のいずれかとの同居を常況としている人をいいます。単に一緒に住んでいるという意味ではなく、直系尊属であることが前提で、義理の親(配偶者の親)も含まれます。
これらはほかの要件(所得・生計を一にする・事業専従者でない)をすべて満たしたうえでの金額です。区分だけで決まるものではありません。
また治療のための長期入院は原則として同居扱いとされる一方、老人ホーム等へ入所している場合は同居扱いになりません。あてはまりそうな場合は税務署にご確認ください。

これは所得から差し引かれる金額なので、実際に減る税額はこれとは別です。所得税についてのおおまかな目安としては、この控除額に自分の税率を掛けたぶんになります(住民税の扱いは所得税とは別です)。

別居でも対象になります。ただし「送金」が中心です

扶養控除の要件は「生計を一にしていること」であって、同居していることではありません。国税庁の通達では、同じ家に住んでいるかどうかは決め手にならないとされています。

仕事や学業、療養といった事情で親族が離れて暮らしている場合でも、生活費や療養費などの送金が継続して行われているときは、生計を一にしているものとして扱われます。逆にいえば、離れて暮らしていること自体は、対象から外れる理由になりません。

つまり、別居の親を対象にできるかどうかは、継続的な送金が行われているかが中心の判断材料になります。「たまに帰省したときに現金を渡している」という状態では、要件を満たすと説明するのが難しくなります。

手渡しは客観的な記録が残りにくい方法です。振込であれば記録がそのまま残ります。ただし、これから振込に切り替えたとしても、それで過去の年分の状況が証明されるわけではありません。
親が国外に住んでいる場合は、別の要件と確認書類が必要になります。この記事は国内で別居している場合を前提にしています。

親の所得がいくらまでなら対象か

扶養親族に当たるには、親の年間の合計所得金額が一定額以下である必要があります。この金額は近年続けて見直されており、申告する年分によって異なります。

令和2年分〜令和6年分合計所得金額 48万円以下
令和7年分合計所得金額 58万円以下
令和8年分から合計所得金額 62万円以下(令和8年12月1日に施行され、令和8年分から適用)
給与収入に置き換えた目安は、この記事では示しません。年分ごとに給与所得控除も動いており、変換の目安を併記するとかえって誤解を招くためです。申告しようとしている年分に合わせて、下記の出典で直接ご確認ください。
判定するのは「収入」ではなく「合計所得金額」です。親が年金を受け取っている場合、年金額そのものではなく、公的年金等控除を差し引いたあとの金額で判定します。控除額は年齢と受給額によって変わり、改正でも動くため、この記事では具体的な年金額の目安を示しません。親の「公的年金等の源泉徴収票」を用意して、税務署か税理士に確認するのが確実です。

そもそも対象から外れる場合

事業専従者になっている親

国税庁は要件のひとつとして「青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと」を挙げています。親が自分や家族の事業を手伝って給与を受けている場合は、ここに当たらないか確認が必要です。

判定は「その年の12月31日の現況」

扶養親族に当たるかどうかは、その年の12月31日(納税者が年の中途で死亡しまたは出国する場合は、その死亡または出国の時)の現況で判定します。年齢もこの時点で数えます。

つまずきやすい点

兄弟で重複して申告することはできません

同じ親を、複数の人が同時に扶養控除の対象にすることはできません。誰が申告するかを先に決めておく必要があります。一般には所得が高い人が申告したほうが減税額は大きくなりますが、健康保険や自治体の他の制度に影響することもあるため、金額だけで決めないほうが安全です。

健康保険の「扶養」とは別の制度です

「税の扶養」と「健康保険の扶養」は、要件も判定時期も別のものです。片方に入っているからもう片方も自動で入る、ということはありません。それぞれ確認が必要です。

申告していなかった場合

過去に条件を満たしていたのに申告していなかった場合、手続きの名前は状況で分かれます。もともと確定申告の義務がなく、申告することで税金が戻る場合は還付申告にあたります(申告の義務があったのに提出していなかった場合は、期限後申告になります)。すでに提出した申告書で扶養控除を漏らしていた場合は更正の請求です。どちらも手続きできる期間に限りがありますので、心当たりがあれば早めに税務署にご確認ください。

今日できる確認

ここまで揃えば、税務署に相談するときの材料になります。帰省したときに「年金の源泉徴収票、見せて」と一言お願いしておく——今日できるのは、それくらいのことです。

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出典・参考(いずれも2026年9月10日参照)

・国税庁 タックスアンサー No.1180 扶養控除(控除額の区分/扶養親族の要件/同居老親等の定義/判定時期/事業専従者の除外/合計所得金額の要件)

・国税庁 所得税基本通達 2-47(生計を一にするの意義)

・国税庁 タックスアンサー No.2030 還付申告/No.2024 確定申告を忘れたとき/No.2026 確定申告を間違えたとき

※本記事は2026年9月時点の一般的な情報の整理であり、税務の個別助言ではありません。控除額・所得要件・適用される年分は改正により変わることがあり、対象になるかは個別の事情で異なります。公的年金等控除額、健康保険の扶養、自治体の制度への影響については本記事では扱っていません。最終的な判断は、お住まいを管轄する税務署または税理士にご確認ください。